[裂き織]
裂き織りとは、木綿生地の古着を割いて横糸に織り込むリサイクル布地。先駆的な循環技術だ。商品の流通が活発でなかった時代、綿花が栽培できない地域では木綿布地が貴重品だった。北国では、栽培できない地域が多かった。そういった地域では、自生する麻や葛、シナノキなど、野草の繊維を素材にして織物を作るしかない。野生の繊維は太くて固いものが多く、保温性にも乏しい。保温性が高く着心地のよい木綿は、あこがれの着物だったのである。江戸時代になると、木綿とともに都市部で余った古着や古布を売る商売が始まる。そこで考えられたのが、「裂き織り」だ。
裂き織りとは、麻や木綿などの強い糸を縦糸に、古着を裂いて紐状にした布を横糸代わりに使う織物のこと。手間はかかるが、木綿より安価で保温性がある裂き織りは、普段着として重宝だ。布地の目が詰まっているので分厚く丈夫で、風雨を防ぐ作業着としても適している。
|